「ビジネスチャットを比較しておすすめを知りたいけれど、機能表だけ見ても自社に合うか判断できない」──この記事はそんなSMB(社員5〜100名規模)の担当者・経営者の方に向けて、Slack・Microsoft Teams・Chatwork・LINE WORKS・Google Chat・Discord・Mattermost/Rocket.Chatの7ツールを料金・セキュリティ・外部連携・企業規模適合性の4軸で横断比較します。
編集部(司馬)はこれまで複数のSMBで導入支援を行ってきた経験から、機能スペックではなく「3ヶ月後に定着するか」という観点を重視しています。各ツールの公式サイト・公式ドキュメント・公式ヘルプセンターの情報に基づき、1人あたり月額の実コスト試算と導入後3ヶ月で起きる定着失敗パターンという、競合記事ではほぼ語られていない2つの視点を本文の核に据えました。
💡 ポイント
本記事の結論を先に:
・コスト最優先&少人数 → ChatworkまたはGoogle Chat(Workspace付帯)
・Microsoft 365契約済み → Microsoft Teams一択(追加コストほぼゼロ)
・外部連携・拡張性重視 → Slack
・取引先や現場スタッフが非IT人材 → LINE WORKS
ビジネスチャット選びで失敗する3つの理由(最初に読むべき前提)
比較表を眺める前に、まず「なぜ多くの企業が選び直しに陥るのか」を整理しておきます。これを押さえないと、どのツールを選んでも3ヶ月後に同じ問題に直面します。
「無料だから」で選ぶと3ヶ月後に乗り換えコストが発生する理由
結論から言うと、無料プランの「メッセージ履歴の保存期間制限」と「ファイル容量の上限」が業務影響を出すのは、利用開始からおおむね2〜4ヶ月後です。理由は単純で、初月は試運転、2ヶ月目から本格運用、3ヶ月目以降に「あの取引先の見積もりはどこに送ったっけ?」と過去ログを遡る必要が発生するためです。
たとえばSlackの公式サイトによると、フリープランは過去90日間のメッセージとファイルにアクセス可能です。つまり91日目に最初のメッセージが見えなくなる仕様で、「3ヶ月の壁」は構造的に必然です。Chatworkのフリープランも、公式サイトの記載によるとメッセージ閲覧範囲やストレージ容量に制限があります。
具体例として、社員10名で月10万通のメッセージをやり取りする企業の場合、無料プランから有料プランへ移行する際の「過去ログ救出」に半日〜1日の工数(実コスト換算で2〜5万円)が追加で発生したケースを、編集部では複数確認しています。最初から有料プランで始めれば不要だったコストです。
機能比較表を鵜呑みにしてはいけない:『使用感』が分かれる4つのポイント
機能表で「○」がついていても、実際に使うと業務効率がまったく違う領域が4つあります。
- 未読管理の設計:チャンネル単位で「未読を全消し」できるか、スレッド未読が一覧で見えるか
- 通知の粒度:DM・メンション・キーワードを別チャネルに分けて通知できるか
- スレッド構造:返信がスレッド化されるか、メイン会話に流れるか(情報の流速が変わる)
- 検索精度:日本語の部分一致・OR検索・期間指定がどこまで効くか
たとえばSlackとTeamsはどちらも「スレッド機能あり」ですが、Slackはスレッドを開いてもメイン画面が維持されるのに対し、Teamsは画面遷移が発生します。1日に50回スレッドを開く担当者なら、この差は1日あたり数分の体感差につながります。
本記事の比較4軸:料金・セキュリティ・外部連携・企業規模適合性
以上を踏まえ、本記事では以下の4軸で全ツールを評価します。
- 料金:表面価格ではなく「1人あたり月額の実コスト」(無料→有料移行リスクを含む)
- セキュリティ:ISMS/ISO27001/SOC2認証、データ保管国、IP制限・SSO対応
- 外部連携:API公開度、Zapier対応、Microsoft 365/Google Workspace統合
- 企業規模適合性:5名/30名/100名の3規模で運用負荷とコストの最適点
主要ビジネスチャット7ツール比較表【料金・セキュリティ・連携・規模】
横断比較表(料金・無料プラン・主要機能・日本語対応・トライアル)
| ツール | 最安有料プラン(1人/月) | 無料プラン | 日本語UI | 主要機能 | 無料トライアル |
|---|---|---|---|---|---|
| Slack | Pro:約1,050円〜(公式サイト記載・税抜・年払い) | あり(過去90日制限) | ○ | チャンネル/Huddle通話/ワークフロー/2,600超のApp連携 | Business+で30日 |
| Microsoft Teams | Essentials:約599円〜(公式サイト記載・税抜)/M365 Business Basic以上で利用可 | あり(無料版あり) | ○ | チャット/会議/ファイル共有/M365統合 | M365で1ヶ月 |
| Chatwork | ビジネス:700円〜(公式サイト記載・税抜・年払い) | あり(機能制限) | ◎(純国産) | グループチャット/タスク管理/ビデオ通話/ファイル共有 | ビジネスプラン1ヶ月 |
| LINE WORKS | スタンダード:450円〜(公式サイト記載・税抜・年払い) | あり(30名上限) | ◎(純国産) | LINE互換UI/既読/カレンダー/掲示板/アンケート | 30日 |
| Google Chat | Workspace Business Starter:約816円〜(公式サイト記載・税抜)に内包 | 個人Googleアカウントで利用可 | ○ | スペース/Gmail統合/Meet統合/Drive共有 | Workspaceで14日 |
| Discord | 無料/Nitro 約650円〜(公式サイト記載) | あり(実質無制限) | ○ | 音声常時接続/チャンネル/Bot拡張 | 不要(無料で常用可) |
| Mattermost/Rocket.Chat | セルフホスト無料/クラウド版は10ドル前後〜(公式サイト記載・税抜) | OSS版は無料 | △(一部) | オンプレ運用/OSS拡張/LDAP連携 | クラウド版で30日 |
※価格は2026年5月時点で各ツールの公式サイトに記載の代表的なプラン価格を引用しています。為替・改定により変動するため、契約前に必ず公式サイトでご確認ください。
1人あたり月額コスト早見表(5名/30名/100名シミュレーション)
表面価格だけでなく、企業規模ごとに「実際にいくらかかるか」を試算します。代表的な有料プランで計算した参考値です(公式サイト記載の最安年払いプランを基準・税抜)。
| ツール | 5名(個人事業・スタートアップ) | 30名(成長期SMB) | 100名(中堅企業) |
|---|---|---|---|
| Slack Pro | 約5,250円 | 約31,500円 | 約105,000円 |
| Teams Essentials | 約3,000円 | 約18,000円 | 約60,000円 |
| Chatwork ビジネス | 約3,500円 | 約21,000円 | 約70,000円 |
| LINE WORKS スタンダード | 約2,250円 | 約13,500円 | 約45,000円 |
| Google Chat(Workspace付帯) | 約4,080円 | 約24,480円 | 約81,600円 |
💡 ポイント
「月1万円以内」を絶対条件にするなら、5名規模ではTeams Essentials・LINE WORKS スタンダード・Chatwork ビジネスのいずれかが現実解。30名規模になるとTeams/LINE WORKSが優位、100名規模ではセキュリティ要件と統合性を加味してTeamsかSlackが本命になります。
セキュリティ認証・データ保管国の一覧
| ツール | 主要認証 | データ保管国 | IP制限/SSO |
|---|---|---|---|
| Slack | ISO27001/SOC2/ISMAP | 米国(Enterprise Gridでリージョン選択可) | ○(上位プラン) |
| Microsoft Teams | ISO27001/SOC2/ISMAP | 日本リージョン選択可 | ○(条件付きアクセス) |
| Chatwork | ISMS/ISO27001 | 日本 | ○(エンタープライズ) |
| LINE WORKS | ISO27001/ISO27017/ISO27018/ISMAP | 日本 | ○ |
| Google Chat | ISO27001/SOC2/ISMAP | 米国中心(地域指定はEnterprise) | ○(Workspace側で) |
| Discord | 業務利用想定の認証は限定的 | 米国 | × |
| Mattermost | SOC2(クラウド版) | オンプレ=任意 | ○(自社管理) |
※認証範囲・対象プランは更新されるため、必ず各社公式サイトのコンプライアンスページで最新情報をご確認ください。
主要ビジネスチャット7ツールの詳細レビュー(実際に使うとどうか)
Slack:外部連携2,600種以上、エンジニア組織で第一候補になる理由
評価スコア:4.6 / 5.0(コスト3.5/使用感5.0/連携5.0/規模適合4.5/セキュリティ4.5)
Slackの公式サイトによると、Slack App Directoryには2,600種類以上の外部連携アプリが公開されています。Google Drive・Notion・GitHub・Salesforce・Zapierなど、SMBが使う主要SaaSはほぼ網羅されています。連携の追加は「設定 → App追加 → 検索 → インストール」の4ステップで完了します。
使用感の最大の特徴は、未読・スレッド・検索の3点が極めて整理されていることです。サイドバーで未読チャンネルだけにフィルタできる機能(公式ドキュメントで「未読」セクションとして提供)は、1日100通以上のメッセージを処理する役職者にとって体感差が大きい部分です。Huddle通話は受話器アイコン1クリックで起動でき、社内の「ちょっと話そう」が会議リンク発行の手間なく成立します。
注意点は、フリープランで過去90日の履歴しか参照できない点。30名規模ならProプラン(公式サイト記載で1人約1,050円〜・税抜・年払い)への移行が現実的です。
Microsoft Teams:M365契約済みなら追加コスト0円の実態
評価スコア:4.5 / 5.0(コスト5.0/使用感4.0/連携4.5/規模適合5.0/セキュリティ5.0)
Microsoft 365 Business Basic以上を契約している企業にとって、Teamsは追加コスト実質ゼロで利用できます。公式サイトによるとBusiness Basicは1人月額約899円〜(税抜)で、Word・Excel・Outlook・OneDrive・Teamsがバンドルされます。チャット単体ならEssentialsで約599円〜(税抜)。
使用感の核はOutlookとSharePointとの統合の深さです。Outlookで受信したメールから「Teamsで会話を続ける」ボタンが出たり、SharePointに保存した議事録がチャネルのファイルタブにそのまま表示されたりと、ファイル探索のクリック数が他ツールより明確に少ない設計です。会議招集はカレンダーから「新しい会議 → Teams会議追加 → 送信」の3ステップで、招待メールに自動でMeetingリンクが埋まります。
一方で、外部の取引先と1対1のチャットを始める場合は招待手順がやや煩雑です。社内コミュニケーション中心であれば最強クラス、社外連携が主軸なら他ツールが優位です。
Chatwork:日本語UIとタスク管理が決め手になるシーン
評価スコア:4.2 / 5.0(コスト4.5/使用感4.0/連携3.5/規模適合4.5/セキュリティ4.5)
Chatworkは純国産ツールで、公式サイトによるとビジネスプランは1人月額700円〜(税抜・年払い)。日本語UI・日本語サポート・日本データセンターの3点が揃っており、IT専任者を置けないSMBで安心感があります。
使用感の特徴は「タスク機能」がチャット内に直接埋め込まれている点です。メッセージから右クリックで「タスクに追加」できる仕様は、Slackの外部App導入が必要な領域を標準機能でカバーします。取引先がIT非専門でも、チャットUIが他のメッセージアプリに近いため学習コストが低く、招待後に「使い方を聞かれて30分対応する」といった事態が起きにくい設計です。
連携機能の数はSlackに劣りますが、Zapier経由で多くのSaaSと接続可能です。30名以下のSMBで、社外取引先とのコミュニケーションが多く、セキュリティ要件が厳しい業界(士業・医療・教育等)では第一候補になります。
LINE WORKS:取引先・現場スタッフがLINE感覚で使える優位性
評価スコア:4.3 / 5.0(コスト5.0/使用感4.5/連携3.5/規模適合4.0/セキュリティ4.5)
LINE WORKSは公式サイトによるとスタンダードプランが1人月額450円〜(税抜・年払い)と、本記事の比較ツールで最安帯です。最大の強みは個人LINEとほぼ同じUIで、研修なしで使い始められること。建設・小売・飲食といった現場業種で、スマホしか持たないスタッフにも浸透しやすい設計です。
業務適合度の高い機能として「既読」表示があります。Slack・Teamsには無いこの機能は、現場で「指示が伝わったか」を確認したいシーンで効きます。一方で、ナレッジワーカー中心の組織だと「全員に既読プレッシャーがかかる」というデメリットにもなり得ます。
外部の個人LINEユーザーとの連携機能(公式サイトに記載のLINE連携機能)も、不動産・美容・士業など顧客とLINEでやり取りする業種で実用的です。
Google Chat:Workspaceユーザーの隠れた最適解
評価スコア:4.0 / 5.0(コスト4.0/使用感3.5/連携4.5/規模適合4.0/セキュリティ4.5)
Google Workspaceを契約している企業にとって、Google Chatは追加料金なしで使えます。公式サイトによるとBusiness Starterは1人月額約816円〜(税抜)で、Gmail・Drive・Meet・Chatが含まれます。
使用感の特徴は「スペース」機能とGmail内表示です。Gmailの左サイドバーにChatが統合されており、メールとチャットを画面遷移なしで切り替えられます。Driveのファイル共有はリンクを貼ると自動でアクセス権設定の確認ダイアログが出るため、共有ミスが起きにくい設計です。
App連携の数はSlackほどではありませんが、Workspace内のサービスとの統合は最も滑らかです。Workspace導入企業で「チャットツールにこれ以上コストをかけたくない」場合の隠れた最適解になります。
Discord(業務利用):少人数スタートアップで増える選択肢
評価スコア:3.5 / 5.0(コスト5.0/使用感4.0/連携3.0/規模適合2.5/セキュリティ2.5)
Discordはゲーマー向けに開発されたツールですが、近年はスタートアップ・クリエイター集団・コミュニティ運営で業務利用が増えています。最大の特徴は音声チャンネルへの常時接続です。VC(ボイスチャンネル)に各自が参加した状態でいると、必要なときに「ちょっと話せる?」と声をかけてそのまま会話が始まる──物理オフィスの隣席感覚を再現できます。
競合記事ではほぼ言及されませんが、この常時接続VCはリモート組織の偶発的コミュニケーションを増やす効果があり、5〜10名のスタートアップでは生産性に明確な差が出ます。料金は無料で大半の機能が使え、Nitroでも個人約650円〜(公式サイト記載)。
ただし、業務利用想定の認証取得が限定的でデータ保管国も米国であるため、機密情報を扱う組織や受託業務では選定を慎重に。「社内の雑談・開発議論」用に限定し、顧客情報は別ツールという使い分けが現実解です。
Mattermost/Rocket.Chat:オンプレ要件のある企業向け
評価スコア:3.8 / 5.0(コスト4.5/使用感3.5/連携4.0/規模適合3.5/セキュリティ5.0)
MattermostとRocket.Chatはオープンソースのビジネスチャットで、自社サーバー(オンプレミス)または自社管理クラウド上に構築できます。金融・公共・医療など「データを社外サーバーに置けない」業種で第一候補になります。
使用感はSlackに似たUIで、チャンネル・スレッド・検索の基本機能は揃っています。OSS版は無料ですが、サーバー構築・LDAP連携・バックアップ運用に情シスの工数が必要です。クラウド版(公式サイト記載で月10ドル前後〜・税抜)を選べば運用負荷は下がりますが、その場合のコストメリットは小さくなります。
⚠ 注意
情シス担当者がいないSMBがオンプレ型を選ぶと、「セキュリティパッチ未適用で結局リスクが上がる」逆転現象が起きます。オンプレを選ぶ前に、本当に法令・業界要件で必要か(クラウド利用が禁止されているのか)を一度社内で再確認することをおすすめします。
【ペルソナ別】あなたに最適なビジネスチャットはこれ
社員5名以下・月1万円以内に収めたい個人事業主/スタートアップ
このゾーンの最適解はChatwork ビジネスプランまたはLINE WORKS スタンダードです。5名×450〜700円なら月2,250〜3,500円に収まり、無料プランの「90日履歴制限」リスクからも解放されます。
取引先が士業・コンサル・代理業など「Chatworkを既に使っている」層が多いならChatwork、現場スタッフ・店舗スタッフを含むならLINE WORKSが適合します。Discordは無料で使えますが、3年後に法人化・取引拡大したときに乗り換えコストが発生するため、最初から有料の業務向けツールを選ぶ方が結果的に安くなります。
社員30〜100名・情シス未配置でセキュリティ不安あり
このゾーンの最適解はMicrosoft Teams(M365 Business Basic以上)です。理由は3つあります。
- WordやExcelも同時に揃うため、コストが「チャット代」ではなく「業務スイート代」として正当化しやすい
- 条件付きアクセス・MFA・データ保管国(日本リージョン)が標準機能で、情シスがいなくても基本セキュリティが担保される
- 取引先もM365利用率が高く、ファイル共有時のフォーマット不整合が起きにくい
セキュリティ要件で「日本データセンター必須・国産企業ベンダー」が条件なら、Chatwork エンタープライズまたはLINE WORKSを併せて検討してください。
取引先との外部連携が多い営業・代理店業
このゾーンの最適解はChatworkまたはLINE WORKSです。Slack・Teamsは社外ユーザー招待のフローがやや煩雑で、IT非専門の取引先にとっては心理的ハードルが上がります。
BtoBで企業相手中心ならChatwork(取引先側がすでにアカウント保有率高め)、BtoCや個人事業主・店舗オーナーが取引相手ならLINE WORKS(個人LINE連携機能あり)という棲み分けが現実的です。
Microsoft 365/Google Workspaceを既に導入済みの企業
結論はシンプルで、既存環境にバンドルされたチャットを使うのが最適です。M365導入済みならTeams、Workspace導入済みならGoogle Chat。理由は連携の深さ・追加コストゼロ・SSO統合の簡便さの3点です。
「機能差でSlackに乗り換える価値があるか」は、外部App連携を月10種類以上活用するエンジニア組織か、ワークフロー自動化を多用するオペレーション組織でなければNoです。多くのSMBは既存スイートのチャットで十分です。
こんな会社には向かない【逆評価】
Slackが向かないケース
- 社員の半数以上が現場・店舗スタッフでスマホ中心の業務(操作が複雑に感じられる)
- 月額予算が1人500円以下で固定されている(フリープラン90日制限が運用障害になる)
- 取引先がIT非専門で、招待のたびにレクチャーが発生する業態
Microsoft Teamsが向かないケース
- M365を導入していない企業(チャット単体ならコストメリットが消える)
- 外部連携アプリを多数使うエンジニア・マーケティング組織(App数でSlackに劣る)
- 動作が重いPCを使う社員が多い職場(Teamsクライアントはメモリ消費が比較的大きい)
Chatworkが向かないケース
- 外部API・Botを駆使した自動化を業務の中核に据える組織
- グローバル拠点を持ち、多言語UIが必須の企業
- 音声・ビデオ通話を1日数時間使うリモートチーム(通話品質はZoom/Meet/Teamsに譲る)
LINE WORKSが向かないケース
- 外部APIで業務システムと深く連携したい開発組織
- 「既読プレッシャー」が組織文化と合わないナレッジワーカー中心の企業
- 大企業向けの細かな権限管理・監査ログが必須の上場企業(一部上位プランでカバー)
Discordが向かないケース
- 個人情報・機密情報を頻繁にやり取りする業務(業務向け認証が限定的)
- 監査ログ・データエクスポートの法令対応が必要な業種
- 50名以上の組織でガバナンスが効いた運用が求められる場合
導入後3ヶ月で起きる定着失敗パターン3選(競合未カバーの視点)
ツール選定が正しくても、運用設計を誤ると3ヶ月後に「メールとチャットが二重化して逆に効率低下」という事態に陥ります。編集部が複数SMBで観測した典型的な失敗パターンを3つ紹介します。
パターン1:チャンネル乱立で「どこに書けばいいか分からない」
導入から1ヶ月で各部署が自由にチャンネルを作り、3ヶ月後には100個以上に膨張するケース。命名ルール(例:#プロジェクト名_クライアント名・#部署名_用途)とアーカイブ運用(30日無投稿で自動アーカイブ)を最初に決めておくと回避できます。
パターン2:通知過多で経営層が「読まなくなる」
全チャンネル通知ONのまま運用すると、1日200通以上の通知で意思決定者がチャットを開かなくなります。導入時に「メンション以外は通知OFF推奨」のガイドラインを配布し、@channel/@here の使用基準を明文化することが定着率を大きく左右します。
パターン3:メールとの使い分けが曖昧で二重化
「重要な連絡はメールで送り直す」運用が始まると、チャットの存在価値が消えます。「社内連絡=チャット/社外正式文書=メール」といった一文ルールを決め、社長・役員から率先して実行することが必要です。トップが背中を見せない限り、現場には浸透しません。
結局どれを選ぶべきか:迷ったときの最終結論
✅ おすすめ:Microsoft Teams
Microsoft 365を契約している/検討中なら、追加コストほぼゼロで導入でき、セキュリティ・ファイル統合・会議機能を一括で揃えられます。SMBの「迷ったらこれ」の本命です。
✅ おすすめ:Chatwork
日本国内の取引先が多く、IT専任者を置けないSMB向け。日本語サポート・日本データセンター・タスク機能が決め手になります。30名以下で社外コミュニケーション主体ならこれ。
✅ おすすめ:LINE WORKS
建設・小売・飲食・美容など、現場スタッフ中心で「LINE感覚で使えること」が成功要件の業種に最適。コストも本記事最安帯で、5〜100名のレンジで広く適合します。
✅ おすすめ:Slack
エンジニア・デザイナー・マーケターなどナレッジワーカー比率が高く、外部SaaS連携を多用する組織向け。コストは高めですが、生産性のリターンで回収できる組織なら最強の選択肢です。
よくある質問(FAQ)
Q. 無料プランだけで運用するのは可能ですか?
5名以下・短期プロジェクトなら可能ですが、3ヶ月以上の継続利用ならいずれ有料プラン移行が必要になります。SlackとChatworkは履歴制限、Teamsはファイル容量制限が運用上のボトルネックになります。
Q. ツールを途中で変更するときの注意点は?
多くのツールはエクスポート機能を提供しますが、過去ログの完全な移行は技術的に困難です。最低でも「重要トピックのスクリーンショット保存」「タスクの別ツール転記」を移行前に実施してください。
Q. 複数のチャットツールを併用しても良いですか?
原則は「1社1ツール」です。社内=Teams/社外取引先=Chatworkといった併用は現実的にあり得ますが、3つ以上の併用はメッセージの分散と通知過多で生産性が下がります。
Q. セキュリティで最も重視すべき項目は?
SMBの場合は「データ保管国」「SSO対応」「監査ログ」「IP制限」の4点。業界規制(金融・医療等)がある場合はそれに準拠した認証(ISMAP・FISC等)を取得しているか公式サイトで確認してください。
まとめ:ビジネスチャット比較とおすすめの最終整理
本記事ではビジネスチャットを料金・セキュリティ・外部連携・企業規模適合性の4軸で比較し、7ツールを横断レビューしました。SMB担当者が押さえるべきポイントを最後に整理します。
- 無料プランは3ヶ月の壁がある。本格運用なら最初から有料プランを選ぶ
- Microsoft 365契約済みならTeams一択。追加コストゼロで完結する
- 国産・日本データセンター・取引先連携重視ならChatwork
- 現場スタッフ中心ならLINE WORKSがコスト・使用感ともに優位
- 外部連携・拡張性重視ならSlack、ただしコスト面の覚悟が必要
- 導入後3ヶ月で定着失敗しないために、命名ルール・通知設計・メール併用ルールを最初に決める
どのツールも公式サイトで無料プランまたは無料トライアルを提供しています。本記事で2〜3候補に絞ったうえで、実際に1〜2週間試してから本契約を決めるのが、ビジネスチャット選びで失敗しない最も確実な進め方です。
編集部より
ビジネスチャット選定で重要なのは、料金・セキュリティ・外部連携・企業規模適合性の4軸を自社の状況に当てはめることです。SlackとTeamsは機能面で拮抗しますが、既存のM365契約があればTeamsの追加コストは実質ゼロ。一方、取引先との連携が多い場合はLINE WORKSやChatworkが定着しやすい傾向にあります。無料プランの履歴制限が業務影響を出す閾値も事前に確認すべきポイントです。
— Tech Picks 編集部|最終確認: 2026年5月
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